本人直筆である証明手法

自筆証書遺言は争われやすい

 遺言書の効力が争われるのはほぼ自筆証書遺言で遺言書を作成した場合です。公正証書遺言は公証人が作成するため、効力を争う余地がほとんどありません。これら2つの遺言について解説は自筆証書遺言と公正証書遺言をご覧下さい。

 自筆証書遺言は直筆で作成しなければならないのですが、自己にとって不利な遺言をされた相続人が、本当に遺言者本人が書いたのかどうかを争うことが本当に多いのです。何とか遺言書を無効にさせようと必死になってあら探しを始めます。
 重い病気になったり、利き手を大怪我したりすると以前のような筆跡で字を書くことが難しくなります。自筆証書遺言を作成するのであれば、できる限り筆跡がしっかりしている時期に作成しましょう。

映像の記録

 今の時代気軽に映像を撮ることができるようになりましたから、遺言書作成時の映像を記録しておくのもとても効果があります。そこまでやるか?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、遺言書の効力を証明できるようにしておかないと危険だと考えられる場合にはできることは何でもやるのです。

 できれば作成の最初から最後まで撮るのがよいのですが、書き始めるところから撮らなくても、完成間近の辺りから書いている顔や姿を撮り始めて、完成したら文面全ても撮り(これが大事です!)、封筒に封印するところまで撮りましょう。そのまま中断せずに撮り続けて当日のTVニュースやラジオ音声、新聞など日付の証明の助けになるようなものも一緒に撮っておきます。

 気を付けなければならないのは記録方式です。ビデオテープも再生するためのビデオデッキがついに生産されなくなりました。再生するのが困難になる前に方式を変更して記録を移しておくことが必要です。
 デジタルデータの保存については半永久的に残るような印象がありますが、CD-RやDVD-Rに焼いたものは早ければ10年までに劣化して読みだせなくなる危険があります。USBメモリなども同様の危険があります。定期的に確認しなければなりません。
 インターネット上で外部に記録する、いわゆるクラウドサービスは個人的にはお勧めしません。記録の消失や流出の危険があることを十分に理解しているなら、3番目以降程度の保存先の候補として加えるのはよいでしょう。絶対に保存先をこれ一つだけにしてはいけません。

各解説ページについてのお断り

専門用語を多用しないように気を付けていますが、どうしても使う際にはできるだけ分かり易い説明を付け加えます。また、分かり易さを優先して婉曲表現や丁寧な言い回しを使用しないことが多々ありますのでお気を悪くなさらないで下さい。