遺言書について始めに

序章

 遺言書は「無くても有っても困る」と巷で言われる非常に繊細な存在です。

 遺言書が無いと遺族に無用の争いが生じる場合が少なくありません。争いになると最終的には相続人が各々別の弁護士に委任して審判(家庭裁判所における裁判のようなもの)ということになります。大変な費用と時間、手間がかかる割に結果は望ましいものではなく、ほぼ法定相続分通りに遺産を分割するだけということになります。争っているがゆえにほとんど融通は利きません。不動産が争った者同士の共有になっても厄介ですし、共有を避けても相続人の人数分に小さく分割された不動産は価値が下がり大きな損失となります。換価して分けようにも多くの場合思うような価格ですぐ売れません。何より深刻なのは争った相続人同士が以後絶縁状態となってしまう場合が多いことです。

 遺言書一つあれば不幸な事態を避けることが可能なのです。しかし、「有っても困る」と言われるような内容の遺言書では遺族が混乱し疲弊してしまいます。そこで、遺言者の意思を最大限に尊重しつつ、しかも相続人全員が納得できるように調整した内容とするべく私と一緒に考えてみませんか。

 遺言書は遺書とは異なります。この事を理解している方がほとんどなのですが、どちらも人の死を前提にした似た名前のものであるためか、今までそれぞれに抱いた印象が頭の中でごちゃごちゃに混ざってしまっていることがとても多いことに驚きます。意外と法律の専門家でもきちんとそれぞれに対する印象を峻別できていないことがあるほどです。私は遺言書に対する不吉だとか縁起が悪いとかの印象を払拭してもらい、その強力な効用を利用してもらうべく活動しています。

 そもそも遺言書を作った方がよいのか分からない、作るべきなのかどうか迷っているといった作成以前の段階にいる方にもどうするのがよいかを一緒に丁寧に検討させていただきます。決して遺言書を作るように無理強いすることはありませんのでご安心下さい。

 遺言書は何度でも作り直すことができます。一度遺言書を作成した後、変化した事情に応じて再度作成しなおすことが肝要です。当事務所でお作りいただいた遺言書を後日に修正・変更したい場合は実費と特別に安い報酬にて承ります。

各解説ページについてのお断り

専門用語を多用しないように気を付けていますが、どうしても使う際にはできるだけ分かり易い説明を付け加えます。また、分かり易さを優先して婉曲表現や丁寧な言い回しを使用しないことが多々ありますのでお気を悪くなさらないで下さい。